最終更新日 2024年8月26日
職場では上司から部下にパワーハラスメント、略してパワハラが行われることがあります。
近年ではこれを厳しく取り締まるケースが増えており、パワハラにならないように気をつけながら指導や教育を行う管理職などが増えているでしょう。
その一方で、逆パワハラが少しずつ目立つようになってきています。
言葉の通り、本来とは逆のパワーハラスメントをあらわしており、部下から上司に行われるハラスメントがこれに該当します。
上司から部下に行うものだと思って対処しない人もいますが、放置しておくべき問題ではありません。
特徴と対処法をきちんと知り、適切な行動が起こせるようにしておくべきです。
逆パワハラの定義
まず、逆パワハラの定義は職場で部下から上司に対して行われるパワハラだと言えます。
優越的な関係を背景とした言動や業務上必要な範囲を超えた言動、労働者の就業環境が害されてしまう言動が当てはまるでしょう。
上司のほうが優位ではありますが、業務のために部下の協力が必要なケース、集団による行為で上司が抵抗できない場合などは部下が優越的な関係でパワハラをしているとみなすことができます。
具体的な内容としては暴言や暴力、適切な指導に対して過剰な反応を行う、人間関係からの隔離、配置転換や解雇の不当な要求などがあるでしょう。
いわゆる、いじめと言われるような行為は含まれると考えておいて良いです。
逆パワハラが起こる理由
逆パワハラが起こる理由は色々と考えられますが、上司よりも優れたスキルを持つ部下であること、部下のほうが年上であること、このハラスメントの認知が低いこと、上司のマネジメント能力が足りないことなどがあげられるでしょう。
しかし、いかなる理由があったとしてもこれを行って良い理由にはなりません。
部下からのハラスメントが横行してしまうと、被害を受けている上司が精神的な苦痛を感じるだけでなく、チームや職場全体の生産性低下に繋がるリスクもあります。
仮に被害者が会社に訴えているにも関わらず放置されていた場合は、被害者が使用者責任や安全配慮義務の違反を理由として裁判を起こすことも可能なので、企業がダメージを受けることもあるでしょう。
逆パワハラを受けている場合の対処法
逆パワハラを受けている可能性がある場合、適切に対処する必要があります。
被害を受けた個人は上層部や経営者に事実を伝え、ハラスメントを行っている人物に注意が行われたりペナルティが与えられたりするようにしてください。
上層部や経営者も証拠なしでは信じることができないため、証拠を集めた上で訴えることが大切です。
証言してくれる人を見つけたり、暴力があった場合は診断書をもらっておいたりすることをおすすめします。
間違っても自分で解決しようと思ってはいけません。
直接部下にハラスメントをやめるように伝えたとしても、良い方向に変わるとは考えにくいです。
注意程度で態度を改めるような人であればハラスメントをしないはずなので、組織全体を巻き込んで解決を目指していく必要があります。
情けなさや恥ずかしさからハラスメントを受けていることを主張できない人も多いですが、解決のためにはありのままの事実を経営者などに公表することが重要です。
企業側の対応について
逆パワハラを受けている、行われている可能性があるという報告を受けた場合、企業は解決に向けた行動を起こす必要があります。
該当する社員や周囲の社員に聞き取りを行って事実確認をしたり、事実であった場合は該当社員の減給や解雇などを行ったりすることになるでしょう。
トラブルを避けたいという理由から放置すると、先に述べたように裁判沙汰になる可能性もあることを忘れてはいけません。
速やかに調査や処分を行うことで、問題解決に努める必要があります。
ハラスメントが起こさない取り組みを行っておく
起こった問題に対する対処も必要ですが、このハラスメントが起こさない取り組みを行っておくことも大事です。
ハラスメント研修を実施し、部下から上司に対してであってもハラスメントになること、その場合はどのようなペナルティがあるのか周知徹底しておくことが大切だと言えます。
明確な内容が決まっていないとハラスメント行為をしてしまう社員が出る可能性があるため、これに関する就業規則を設けておくこともおすすめです。
可能であれば社内に相談窓口を設置し、トラブルがあったときや疑いがあるときには素早く相談できるようにしておきましょう。
個人ができることとしては、自身の潔白を証明するために部下に対する注意や指導の内容を記録しておいたり、部下と良好な関係を築けるようにマネジメント能力を伸ばしたりしておくと良いです。
まとめ
逆パワハラが起こっていても、自分が受けているものがハラスメントと呼んで良いと知らなかったという理由から放置してしまう人も多いと言えます。
近頃問題となっているハラスメントの1つなので、まずは理解を深めることから始めるべきです。
正しい知識を持った上で、これの疑いがあるときには解決のために行動が起こせるようにしてください。